映画『タクシードライバー』、名作とのことで観てみました。
パッと頭に浮かんだ感想は「完全にダマされた...」。
狂気的で不気味な映画ですが、名作と言われるのも納得。
これだけ心を引っかき回されることも珍しいです。
映画紹介とレビューを書いていきます。
『タクシードライバー』が配信されているVODも紹介しますね。
この映画は、こんな方におすすめ
・不気味なサスペンス映画を見たい方
・ベトナム戦争期の、暗く陰鬱なアメリカ社会を体感したい方
『タクシードライバー』映画情報とあらすじ
- 基本情報
原題 | Taxi Driver |
監督 | マーティン・スコセッシ |
脚本 | ポール・シュレイダー |
主な出演 | トラヴィス・ピックル:ロバート・デ・ニーロ ベッツィー:シビル・シェパード ウィザード:ピーター・ボイル アイリス:ジョディ・フォスター |
配給 | コロムビア |
公開 | 1976年/アメリカ |
上映時間 | 114分 |
受賞歴 | 第29回カンヌ国際映画祭:最高賞パルムドール |
- あらすじ
ベトナム帰りのタクシー運転手・トラビス。
U-NEXTより引用
ある日、少女の娼婦・アイリスがトラビスのタクシーに逃げ込んでくるが、ポン引きに連れ戻されてしまう。
後日、トラビスは闇のルートで何丁もの拳銃を買い、肉体を鍛え始める。
そんな中、アイリスと再会し…。
『タクシードライバー』のレビュー・感想
ここからは、感想とレビューを書いています。
重要な部分のネタバレをしないよう気をつけていますが、セリフを引用したり、内容にも触れています。
気にされる方はここでストップするか飛ばしてくださいね。
主人公の感情が読めない→ダマされた
主役のトラヴィスは、ベトナム帰還兵で26歳の青年。
登場した時から、心がざわざわするというか、奇妙な印象を受けるキャラです。
トラヴィスは、タクシードライバーの仕事を得て、夜の街を仕事で走ることになります。
序盤から行動はちょっと(というか大分)気持ち悪くもあるのですが、
とんでもなく美しい女性ベッツィーに臆せずアタックしたり、
夜の繁華街をうろつく人々への嫌悪感をあらわにしたりと、
ぎりぎり共感はできるのです。
しかし、中盤からどんどん変になっていきます。
初デートでベッツィーをポルノ映画に連れて行ったり、
拒絶されて電話が繋がらないので花を送りまくったり、
挙句の果てには職場に押しかけたり。
絶妙に気持ち悪い(笑)
そしてこの辺りから、トラヴィスの感情が読めなくなっていきます。
「どこにいても俺には寂しさが付きまとう」
と独白した後、銃を仕入れ、筋トレを始めるトラヴィス。
上裸で銃を装備して、シミュレーションをする姿がなんとも滑稽...
微笑を浮かべながら独り言を呟いているのが不気味です。
ものすごい中二病感。
そして、大統領候補を襲撃しようと考えているのが明らかになります。
偶然出会った12歳の娼婦アイリスにも「君を助けたい」と申し出るのですが...
もちろん、助けようとするのは正しいと思いますよ。
しかし、前後関係によって、めちゃめちゃ気持ち悪く見えてしまう。
本気なのか、下心なのか、狂ってるのか、ぜんぜん読めないのです。
そしてクライマックスで、ついに事件を起こすのですが...
ラスト、納得できん!
いや納得せざるを得ないんですが、裏をかかれた感じで、ちょっとむかつく(笑)
トラヴィス本人も予期せぬ事態だったことでしょう。
中盤からじわじわと植え込まれた「イメージ」に、
思わぬミスリードを引き起こされました。
ある意味ハッピーエンドとも言えますが、個人的に後味は良くないです。
結局、トラヴィスは孤独と寂しさから解放されるわけではない...
映画で元気になりたい方にはあまりおすすめしません(笑)
背景には、当時の社会問題があった
トラヴィスは、ベトナム帰還兵の26歳という設定でしたが、
この映画が制作された頃のアメリカの若者にも、
トラヴィスのように孤独と葛藤を抱えた若きベトナム帰還兵がたくさんいたそうです。
長引く戦争の末、たくさんの犠牲者を出して、結局は撤退。
特に兵士として従事した若者への精神的な影響は大きく、
トラヴィスのように孤独感や不眠、
対人コミュニケーションがうまく取れないことに悩む人も多かったことでしょう。
政治や治安などに対して蓄積していた人々の憤りを、トラヴィスが実体化させたようにも捉えられると思います。
あとはトラヴィスのモヒカン。
突如モヒカンになって、「えええ〜」と衝撃を受けてしまったのですが、
ベトナム戦争で危険な任務につく兵士は、モヒカンにしていたようなんです。
トラヴィスの過去については何も語られませんが、ミリタリージャケットを好んで着用していたり、戦争の傷跡を意識しているのが感じられますね。
『タクシードライバー』の音楽と映像
この映画の音楽と映像についても、少し書いておきます。
音楽について
冒頭のメインテーマは、とても印象的です。
サックスの物憂げなメロディーと、流れゆく夜の街。
これから夜にタクシー乗ったら思い出してしまいそうです。
映像について
夜のネオン街は、ギラギラした刺激的な映像。
全体的にずっしり濃いめの色合いです。
心がざわつくので僕はそんなに好きではないですが、まあジャンル的にサスペンスですし、ぴったりだと思います。
気になったのは、登場人物の服装。
トラヴィスは女性と会うとき、2回とも赤っぽい服を着ています。
そして相手の女性も赤っぽい服なのです。
これには何か意味があるのでしょうか。
赤は、共産主義をイメージする色で、ベトナム戦争を絡めると敵側の旗色でもありますが...
ちょっと深読みしすぎかも(笑)
『タクシードライバー』を無料視聴できるVOD
2023年5月現在、この映画を追加料金なしで視聴できるVODは下記のとおりです。
配信されている作品は時期によって変動するので、公式ページで確かめてみてくださいね。
最後までご覧いただき、ありがとうございました。
それでは今日もよい1日を!