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気楽に楽しめるピアノの世界。『蜜蜂と遠雷』の映画情報とレビュー



映画『蜜蜂と遠雷』を観ました。
賛否両論あるようですが、原作とは別物の、娯楽性が高い映画と考えれば楽しめると思います。

映画紹介とレビューを書いていきます。
『蜜蜂と遠雷』が配信されているVODも紹介しますね。

この映画は、こんな方におすすめ

・クラシック音楽やピアノが好きな方、あまり知らないけれど気楽に聴いてみたい方
・美しい映像と、迫力ある演奏シーンを楽しみたい方

『海の上のピアニスト』映画情報とあらすじ

映画『蜜蜂と遠雷』予告【10月4日(金)公開】
  • 基本情報
監督・脚本石川慶
原作恩田陸
主な出演栄伝亜夜:松岡茉優
高島明石:松坂桃李
マサル・カルロス・レヴィ・アナトール:森崎ウィン
風間塵:鈴鹿央士
公開2019年
上映時間119分
  • あらすじ

ピアノの天才たちが集う芳ヶ江国際ピアノコンクールの予選会に参加する若き4人のピアニストたち。
母の死をきっかけにピアノが弾けなくなったかつての天才少女・栄伝亜夜は、7年の時を経て再びコンクールへの出場を決意する。
音大出身だが現在は楽器店で働くコンクール年齢制限ギリギリの高島明石は、家族の応援を背に最後の挑戦に臨む。
名門ジュリアード音楽院在籍中で完璧な演奏技術と感性を併せ持つマサル・C・レヴィ=アナトールは、優勝候補として注目されている。
そして、パリで行われたオーディションに突如現れた謎の少年・風間塵は、先ごろ亡くなった世界最高峰のピアニストからの「推薦状」を持っており、そのすさまじい演奏で見る者すべてを圧倒していく。
熱い戦いの中で互いに刺激しあい、それぞれ葛藤しながらも成長していく4人だったが……。

映画.comより引用:https://eiga.com/movie/90061/

『蜜蜂と遠雷』のレビュー・感想


ここからはレビューを書いています。

重要な部分のネタバレをしないよう気をつけていますが、セリフを引用したり、内容にも触れています。
気にされる方はここでストップするか飛ばしてくださいね。

原作とはだいぶ異なる

この映画の世界と、原作で描かれる世界は、つなげて考えない方がよいと思います。

原作をいったん解体し、エッセンスを取り入れながら2時間の枠で再構築したのがこの映画です。

初めて観たとき、すごく感動して、とても楽しめたのを覚えています。

しかしその後、原作を読むと...物語の厚みが全然違う!
映画を独立したものとして考えれば楽しめると思いますが、つなげて考えてしまうと、うーん(笑)
人物の描写まで、かなり異なっている部分もあります。

例えば、主役の亜夜。
映画では、過去のトラウマと孤独を抱えながら、自分自身と闘っていく姿が描かれます。
しかもけっこう最後の方まで、本当に自分がピアノを好きなのか、演奏したいのか、悩み続けています。
「今回のコンクールがダメだったら、ピアノをやめようと思っている」ということも口にするのです。

しかし原作の亜夜は、コンクールの出場は渋っているものの、あくまで音楽が好きで、過去のこともそこまで気にしていない。
気にかけて助けてくれる音大の友人や先生もいて、もはや別のキャラのようにも感じます。

原作ではたっぷり時間をかけて4人の人物描写を丁寧に行っていくのですが、やはり映画で2時間にまとめるとなると情報量に差をつけるしかないですね。
映画だと人物が中途半端に描かれているのは、ちょっと残念...
しかし、ドラマティックで共感を生みやすい、明石のストーリーに多くの時間を割いたのは正解だと思います。

風間塵の役割

風間塵が音楽界への「ギフト」であることには触れるのですが、それが何なのか分かりにくい...
ただ意味深な感じになっています。

原作では、風間塵が発火材となって、他のコンテスタントたちに眠っていた力を燃え上がらせていく様が描かれます。
ここが、物語のキーポイントだと思うのですが...
映画だと、「世界が鳴っている」ことを亜夜に再び気づかせましたが、もっと広く大きな影響を与えてほしかったです。
単なるエキセントリックな天才、といった感じになっていました。

それによって物語の厚みがなくなり、コンクールを描いただけの映画といった感じになってしまっています。

※純粋にエンタメとするなら十分楽しめます!

原作のもつ、「言葉の力」

原作、すごいです。
小説なのに音が聴こえてくるようで、そこらのコンサートに行くより満足感を得られる気すらします。
理由を考えてみました。

言葉だけで何かを表現するとき、余白が残ります。

余白を説明するための実験で、下記の状況を思い浮かべてみてください。

「眩しい光を放つようにステージのピアノから音が溢れ出し、神々しい響きに全身がぶわっと包まれる。
これは現実なんだろうか?
にわかに信じがたい体験に、背筋が寒くなる。」


出来は置いておいて(笑)、このような文章があったとします。

実際の音は聴いていません。
しかし無意識に、想像できる最高の音や情景を思い描いていませんか?

余白、つまり想像の余地があると、人は勝手に最高のものを想像してしまいます。
長らくマスク姿しか見ていなかった人の素顔を見たら、イメージとのギャップが大きかったりするのと同じですね。

恩田さんの小説は、絶妙な言葉選びによって、読者自身が音を創造できるように書かれています。
きっと、驚くような読書体験ができますよ。


『蜜蜂と遠雷』の音楽と映像


この映画の音楽と映像についても、少し書いておきます。

音楽について

音楽映画だけあって、演奏がアップで映され、迫力満点。
4人の演奏の個性も分かるようになっています。

亜夜のファイナルのシーンは、映像と音楽をあわせた「闇→光」の表現が最高ですね!

亜夜と塵の連弾シーンも素敵です!

映画『蜜蜂と遠雷』亜夜と塵の月夜の連弾【10月4日(金)公開】

気になったのは、メインの4人を、他の出場者の演奏と比べられないこと。
勝ち進んだ彼らがどれだけ際立っているのか分からないので、ちょっとモヤモヤ...

サウンドトラックはなんと4枚も。
メインの4人の演奏を担当したピアニストが、それぞれアルバムを出しています。
物語の世界に想いを馳せながら聴くのも、なかなか楽しいですよ!

映像について

映像はとても美しいです!
亜夜の心の中のイメージを映像化したシーンと、上に動画を貼った連弾シーンが特に好きです。

こんなこというと夢がなくなるかもしれませんが、本当に出演者が弾いているように見える映像の組み合わせ方がすごいですね!

『蜜蜂と遠雷』を無料視聴できるVOD


2023年5月現在、この映画を追加料金なしで視聴できるVODは下記のとおりです。

  • 『蜜蜂と遠雷』を配信中のVOD

    U-NEXT(31日間の無料体験あり)


配信されている作品は時期によって変動するので、公式ページで確かめてみてくださいね。


最後までご覧いただき、ありがとうございました。
それでは今日もよい1日を!

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