映画『パリに見出されたピアニスト』を観ました。
不良少年がピアニストとしてデビューしていくまでの、熱のこもったサクセスストーリーです。
フランス映画らしく、おしゃれさとのバランスが素敵。
映画紹介とレビューを書いていきます。
『パリに見出されたピアニスト』が配信されているVODも紹介しますね。
この映画は、こんな方におすすめ
・不良→ピアニストという、エネルギッシュなサクセスストーリーを観たい方
・現代のフランスを舞台にした、おしゃれで美しい映像を楽しみたい方
『パリに見出されたピアニスト』映画情報とあらすじ
- 基本情報
原題 | Au bout des doigts(この指で未来をひらく) |
監督 | ルドビク・バーナード |
脚本 | ルドビク・バーナード ジョアン・ベルナール |
主な出演 | マチュー・マリンスキー:ジュール・ベンシェトリ ピエール・ゲイトナー:ランベール・ウィルソン エリザベス(女伯爵):クリスティン・スコット・トーマス |
公開 | 2018年 |
上映時間 | 105分 |
- あらすじ
夢を持たずに生きてきた不良青年と、彼の才能を見いだしピアニストに育てようとする2人の大人たちの物語を描くフランス製ヒューマンドラマ。
映画.comより引用:https://eiga.com/movie/91193/
パリ、北駅に置かれた1台のピアノ。
マチューの楽しみは、自分を追う警察官の目を盗んでそのピアノを弾くことだった。
そこへ通りかかった音楽学校のディレクター、ピエールはマチューの才能に強く惹かれ、ピアニストとして育て上げたいと声を掛ける。
乗り気ではないマチューだったが、実刑を免れるため無償奉仕を命じられた音楽院で、ピエールや厳しいピアノ教師エリザベスの手ほどきを受けることに。
生い立ちに恵まれず夢など持たずに生きてきたマチューは、周囲との格差や環境の壁に直面しながらも、本気で音楽と向き合うようになっていく。
『パリに見出されたピアニスト』のレビュー・感想
ここからは、レビューと感想を書いています。
ネタバレありです。
気にされる方はここでストップするか飛ばしてくださいね。
さすがフランス映画!おしゃれ!
シーンや登場人物の細かいところまで、さすがフランスといった洒脱(しゃだつ)感。
先生2人が素敵すぎる!
マチューの実家も、一見雑然としてますが、間接照明や絵などのバランスに調和があって良いですねー。
また、先生が好意で貸してくれた部屋に即日彼女を連れこんでも、「まあそうだよね」って感じでとがめない心の広さがフランスっぽい(笑)
もちろん良い意味で、ですよ!
王道の構成で、スッキリまとまっている
この映画の構成は、スターウォーズなどに見られる王道の構成となっています。
簡単に書くと、下記のような感じです。
日常の世界
↓
冒険の誘い
↓
冒険の拒絶
↓
師・メンターとの出会い
↓
冒険へ
↓
試練・仲間・敵対者との遭遇
↓
最大の危機への接近
↓
最も厳しい試練
↓
宝物を手に入れて帰還
『パリに見出されたピアニスト』は、主人公のマチューの物語を軸に、ピエールの物語が絡み合って深みを出しています。
しっかり王道に乗っているうえ、クローズド・エンディング(結末の解釈の余地が狭い)なので満足感がある作品です。
面白いのは、大きな挑戦を目前にして、マチューがアイデンティティ・クライシスに陥るあたりがリアルなこと。
人が離れて行ったり、昔の自分を知る人が現れたりと、変化を妨げようとする力が働いています。
これは、現実の僕たちにも得てして発生する現象ですね。
映画でシミュレーションしておくと、心の準備ができて良い(笑)
いくつか腑に落ちない点も
ちゃんとまとまっていて後味のいい映画なんですが、「なんかモヤモヤする...」と感じる展開もいくつかありました。
まず、マチューが急性腱鞘炎を乗り越えるシーン。
医者に「3週間弾かないでください」と言われてしまいます。
街中のモノに当たり散らして涙を流すマチュー。苦悩が映し出されます。
しかし、その後の練習の場面はなく気づいたら本番直前で、曲も弾けるようになっているのです。
「治ってるし弾けてるじゃん!なんで?」となってしまいました(笑)
それならデートの場面を10秒くらい削って練習を写した方が共感度上がるんじゃないかな、と思うのですがどうでしょう。
もうひとつは、クライマックス直前の、「コンクールに出ない」と言い出すシーン。
この映画の展開だと、事故が発生しなければコンクールには行かなかったわけで...
ここは自発的に動いてほしかったですし、ケガ人出す必要ありますか?(笑)
勝手に、別パターンを想像してみます。
コンクールには出ないと決め、地元のワル仲間2人のもとに戻るマチュー。
しかし心ここにあらずという感じで、2人に「音楽院で頭やられちまったのか?」と茶化されます。
マチューの頭に浮かんでくるのは、幼い頃のジャック先生との日々。
窓から優しい光が差し込む小さな部屋で、ジャック先生が隣に座って、ひとつひとつ教えてくれる。
ピアノが好きでたまらなかった、幸せな記憶。
「やっと分かった。ジャック先生、やっぱり俺、ただピアノが好きで弾きたかっただけなんです...!」と確信し、会場に向けて走り出す...
これじゃ安西先生と三井みたいですが(笑)
または、コンクールに出ようと決めたのは彼女のアンナの一言がきっかけだったので、再びアンナを登場させるとか。実家にも一度行っているみたいですし。
2人のワル仲間のもとへ戻ったマチューのところに、アンナが駆け付ける。
アンナ
「マチュー!よかった、見つかった!
連絡全然とれないから心配してたんだよ。
早く行こう、もうコンクール始まってるよ。」
マチュー
「アンナ...俺やっぱり出ないことにしたんだ。
そもそも俺なんて出るべきじゃなかったんだよ。
音楽院の正式な学生でもないし、刑務所に戻りたくないから渋々練習させられてただけさ。」
アンナ
「なにバカなこと言ってるのよ!
コンクールの直前は、誰だって怖くなるんだよ?
理由をつけて、出るのを辞めようとしたがるの。私だって何度も経験してる。
私は、マチューが音楽を本当に好きなこと、知ってるよ。
最初にピアノを教えてくれた先生のこと話してくれたでしょ?
きっとあなたを誇りに思って、天国で聴いてくれてる。
今の先生たちだって、あなたなら出来ると信じて、あんなに熱心に教えてくれたんだよ。
あとは自分を信じるだけなの。
もう時間がないわ、行きましょう!」
マチュー
「...。」
マチューの頭に浮かんでくるのは、幼い頃のジャック先生との幸せな日々。
やっぱり俺は、ピアノが好きなんだ。弾きたかったんだ。
マチュー
「...行く。弾きたい。
でももう時間がない。
お前ら、頼む、俺を助けてくれないか?」
ワル仲間A
「はっ、ピアノコンクールだって?
やっぱりマチューは違う世界に行っちまったんだな!
勝手に行けよ!」
ワル仲間B
「...。俺は、マチューを応援するぜ!
なんだかんだ長い付き合いだしな。
車出すから早く乗りな!」
ワル仲間Bが車を飛ばし、コンクールの会場に向かうマチューとアンナ。
すっかり日は暮れてしまい、マチューの順番が近づいている。
しかし、なんと交通事故の渋滞が...
ワル仲間B
「クソッ、渋滞だ。
周り道するからちょっと待ってろ!」
マチュー
「いや、ここから走るよ!
本当に助かった、ありがとう!」
車を降りて走り出すマチュー。
直後、「おい、こっちだ!乗れ!」とワル仲間Aがバイクで現れる。
マチュー
「...!
悪い、助かる。頼む!」
ワル仲間A
「さっきは悪かったよ。
俺もマチューを応援してるんだぜ。
公益奉仕の成果、見せてこいよ!」
...みたいな(笑)
なんならエンディング直前とかにマチューとアンナのデュオも見たかったです。
『パリに見出されたピアニスト』の音楽と映像
この映画の音楽と映像についても、少し書いておきます。
音楽について
どこかで聴いたことがあるような超有名曲ばかりなので、クラシックをあまり知らない方でも楽しめると思います。
こういう映画でいつも思うのですが、演奏の切り貼りをもっと少なくできないものでしょうか(笑)
音楽メインの映画ですし、クライマックスの演奏は、マチューが苦難と葛藤を乗り越えた結晶です。
もうちょっと長くしても、さすがに聴いていられるのでは...
サウンドトラックもあります。
こちらには、さすがにフル版を入れてほしかった(笑)
映像について
現代らしく、クリアでモダンな美しい映像です。
ここ最近は少し古い映画を中心に観ていたのですが、クリアな映像もまた魅力的ですね!
どのシーンを切り取っても絵になりますが、逆にゆるさもあったらコントラストがつくんじゃないかな、とも感じました。
『パリに見出されたピアニスト』を無料視聴できるVOD
2023年5月現在、この映画を追加料金なしで視聴できるVODは下記のとおりです。
- 『パリに見出されたピアニスト』を配信中のVOD
・U-NEXT(31日間の無料体験あり)
・Prime Video(30日間の無料体験あり)
・FODプレミアム
配信されている作品は時期によって変動するので、公式ページで確かめてみてくださいね。
最後までご覧いただき、ありがとうございました。
それでは今日もよい1日を!