ロシアピアニズムでは倍音を聴くことが重要っていわれてるけど、そもそも倍音って何だろう?
どうすれば聴けるようになるのかな?
こんな疑問に答えます。
こんにちは、ゆきおです。
今回は、ピアノにおける「倍音」について書いていきます。
ロシアピアニズムを知ったころ、頻繁に使われる「倍音」という言葉が何を指しているのか、正直よく分かりませんでした。
コンサートに行った時、明らかに音は違うことはわかるのですが、じゃあそれが「倍音」なのか?と混乱。
今では説明できるようになったので、できるだけ分かりやすいように解説していきますね。
「倍音」とは、ある音を鳴らしたときに同時に発生する音のこと
簡単にいうと、倍音とは、ある音を鳴らしたときに同時に発生する音のことです。
自然科学として説明できる現象ですが、知らなくても聴こえるので、ざっくりの理解で大丈夫です。
音のどの部分が「倍音」?
以前の投稿で使った下手な図を、遺憾ながらまた使います。
ここでいう「ド」は、「基音」。
基音の「ド」を鳴らした時に、「ド」以外の響きが生まれます。
図でいう「ポワーン」の部分。これが倍音のイメージです。
基音の「ド」の音を鳴らしたとき、実は同時に「オクターブ上のド」や「ソ」や「ミ」などの音が小さく発生しています。
「音は空気の振動の波」、ということを聞いたことがあるかと思いますが、大きな波(基音)が発生したときに小さい波(倍音)も一緒に生まれるということ。
そして、この倍音をたくさん含んでいる音ほど、人間の耳には「心地よい音」だったり「伸びのある音」に聴こえます。
ピアノではないですが、「いい声」の人っていますよね?
「いい声」の人は声帯と身体を共鳴させて、倍音がたくさん含まれた声を出しているんです。
ちなみに、僕はボイトレ教室に通っていたことがあるのですが、
- 声量が必要なオペラ歌手は胴を振動させて巨大な倍音を出す
- 声量が必要ないマイク使用前提の歌手は、鼻の奥にある小さめの空間などを振動させて倍音を出す
と聞きましたよ。
逆に、基音だけの極端な例としては、機械から出る電子音を想像してみてください。
ピアノの話に戻ります。
ピアノでは、打鍵するときのタッチによって、発生する倍音量が変化します。
その理由は、ハンマーがどのようなスピードで弦に当たり、どのように弦から離れるかによって、上記の音の波の形に影響が出るため。
ロシアピアニズムでは、倍音量を自在に操れるよう、いろいろなタッチを使っていくのです。
演奏するうえでは、倍音の音程まで聴き取れる必要はありません。
どのくらい倍音が出ているかだけ分かるように、耳を育てましょう!
「倍音」=「響き」?
ロシアピアニズムを学んでいる方は「響き」という言葉をよく使っています。
倍音について説明しましたが、「響き」とは倍音のことなのか?と思われる方もいらっしゃると思います。
結論からいうと、ちょっとだけ違います。
- 「倍音」は、ある音を鳴らしたときに同時に発生する音のこと
- 「響き」は、基音と倍音、空間の音響などを含めた、音全体のこと
「響き」は明確に定義できないと思いますが、上記のように考えると分かりやすいと思います。
解説します。
ピアノの音の要素は倍音だけではありません。
当然、基音が存在します。
それだけでなく、空間の残響なども、音がどんな印象で人間の耳に届くかに影響してきます。
いろいろな要素があったうえで、人間が聴く音全体を「響き」と思っていただくのがシンプルで良いかと思います。
倍音がたくさん出ているということは、「響き」をつくる要素のひとつがgoodな状態ということ。
つまり、完全に「倍音」=「響き」というわけではないけれど、かなり近しいものだということですね。
倍音を聴く耳を育てる方法【ヒント:別の楽器】
結論からいうと、最初は倍音豊かな楽器の音を聴いてみるのがおすすめです。
なぜなら、音を出すことに慣れているピアノだと、どうしても基音を聴いてしまいがちだから。
僕は、家の事情でどうしても電子ピアノしか置けないので、後ほど紹介するティンシャを毎日数回鳴らして聴いていました。
練習室を借りて本物のピアノで練習できるのは週に1回くらい。
しかし、練習室に行くたびに、どんどんピアノの倍音が聴こえるようになっていることを実感できました。
同じような境遇の方には特におすすめです。
ティンシャ
チベット仏教のお坊さんが使う法具です。
ヨガのレッスンでもよく使われるそう。
最初のアタックで生まれる音が基音。
基音は細く残りつつも徐々に消え、倍音が豊かに鳴り続けているのが分かります。
ポイントは、完全に倍音が消えるまで、全神経を耳に集中して聴くこと。
ピアノでも似たような音の変化が起こるので、最後の振動が消えるまで聴きつづける感覚を覚えましょう!
僕はコロナが流行りはじめたころ、飲み会がなくなったので金銭感覚が狂っており、買ってしまいました。
これだけのものに平気で1万5千円くらい出しました笑
まあ全然後悔はしていないです、今でも時々チーンと鳴らしてます。
当時は類似品を見つけられなかったのですが、今は安いものも売っているようです。
正直なところ、他の用途がないのならば、先ほどの動画をスピーカーで再生すれば十分です。
アウリスグロッケン
おもちゃとして販売されていますが、おもちゃの域を超えています。
仕事の関係で、子育て支援施設へ行ったときに出会いましたが、本当に豊かな倍音が出てびっくりします。
家に本物のピアノを置けない方は、響きでレガートを作るための耳の訓練にもなると思います。
買おうとしましたが、お値段がけっこう高いのです。
ペンタトニックのものは1万円台ですが、クロマチックスケールのものは5万超え笑
子どもに壊されちゃったらツライですね。
僕はお金に余裕ができたら買います。
旅行に持っていくのもいいかも。
大自然の中で弾きたい。
ピアノの倍音を聴いてみる
ピアノで倍音を聴く練習は、まずダンパーペダル(いちばん右のペダル)を踏みながら1音に集中して聴いていきましょう。
ダンパーペダルを使うと、倍音が一気に豊かになります。
理由は、他の音の弦もいっせいに開放されて振動し、倍音が発生するから。
倍音がどのように鳴っているかは、下記の動画が分かりやすいです!
『「響き」に革命を起こす ロシアピアニズム』の大野先生のお弟子さんだそうです。
実演は3:50あたりから。
光賀さんの動画を順番に見ていくと、とても勉強になります。
僕は全て拝見しました。
通っている教室の先生とは指導内容がけっこう違いましたが、それもロシアピアニズムの多様さゆえ。
色々なことを吸収して、自分の中でひとつにしていく感じです。
「何となく聴けるようになってきかな?」と思ったら、コンサートへ!
倍音が聴けるようになってきたら、ぜひロシアピアニズムの方のコンサートへ行ってみてください。
楽曲になると音数が多いため、1音に含まれる倍音ではなく、響き全体を聴くことになります。
生演奏を聴いて、理想の響きを自分の中につくっていくことはとても大切です。
リラックスして響きを浴びるような感覚で、音楽を楽しみましょう!
ホールの環境や座席の位置は結構重要です。
響きが全然感じられないのは環境のせい、ということもあります。
ピアノの場合、ステージに向かって右手側(手元は見えない)で、やや後ろの方の席だと響きをたっぷり感じられることが多かったので、参考までに。
ロシアピアニズムのピアニストは別の記事でも紹介しています。
オーケストラなど管弦楽を聴きにいくのもおすすめです。
ピアノばかり聴いていた場合、その豊かな倍音に驚くはず!
僕のイチオシは声楽や合唱です。
本当に半端ない響きの世界を体験できます。
「人間の声は最高の楽器」といわれますが、やっぱりすごい。
聴く力は必ず育ちます。少しずつ取り組んでいきましょう!
今回は、「倍音」について解説してきました。
振り返ります。
- 倍音は、ある音を鳴らしたときに同時に発生する音のこと
- 倍音を聴く耳を育てるには、ピアノだけでなく色々な楽器を聴いてみるのがおすすめ
普段から倍音を聴く習慣がない場合、意識の外にあるのでなかなか認識しにくいです。
しかし、意識的に聴こうとすれば、必ず聴く力は育ちます。
楽しみながら取り組んでいきましょう!
下記のページでは、当ブログのロシアピアニズムに関する記事をまとめています。
よろしければ、どうぞ。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
それでは今日も楽しいピアノライフを!